新列伝 聖女は黎明を希う 感想②
ここからスクロール下盛大にネタバレ含みます。
閲覧ご注意ください。
今回の列伝、妙に腑に落ちなかったのはなんでかなあ、と考えてみました。
私的には、結局セレスティアの願いっていうのが、ノアの精神的な苦しみの解放なのか、人々が助け合って平等に生きることができる世の中なのか、はたまたどちらもなのか。それとは他にセレスティアの最も強い願いが何かあったのか。
これがわかりにくかったからかな、と思いました。
序盤を見る限りでは、セレスティアはノアを苦しみ(おそらくノアだけが他者の感情を理解出来ずにいること?ノアが自身の無力さに苦しんでいること?)から解放したい、楽にしてあげたいっていうのがセレスティアの願いのようにとれたのですが、
終わり方と序盤がうまく繋がっていないような気がして、それ故にセレスティアの願いがいまいちはっきりしなかったように思いました。
結局、セレスティアは何を願っているのかにもよるのですが、それなら最後にノアを労わるような、たとえどれほどの時が経とうとも、あなたの苦しみ(セレスティアから見たこのノアの苦しみというのを具体的にして欲しかった)が解放されるまで願い続けます、的な言葉が欲しかったかなと。
明けない夜はない、というのは素敵な言葉だと思うのですが、どういう状態が明けない夜で、逆に夜明けとは、人々が助け合って平等に生きている世の中なのかノアの苦しみが解放されることなのか、これがわかりにくかったです。
あと、ノアも己の無力には絶望したのかもしれませんけど、そういう意味での苦しみはあったかもしれませんが、、、
自分が人の感情を利用することに苦しみや悪びれを感じている様子は私にはあまり伺えなかったですし、ノア自身の考えがエルヴィーやナディアに理解されなかった点については(列伝 救世の一族と原初の情景 参照)むしろ苦しみより怒りの方が強かった描写にみえたのですが。
おそらくこれは、幻獣となった人々がどういう思いで幻獣になったのか、大体は自分が犠牲になっても守りたいものを守るためであったり、身内を失った仇を取るためであったり、なんですが、それをノアはわかっていない(そのような幻獣になっていった人の思いなど気にならず、必要であれば人の感情を利用するという性分のため)
ということで、そこで幻獣となった人々の本当の願いとノアの行動にすれ違いが生じてる、っていうのを言いたいのではないかと。
で、セレスティアは最終的にノアにどうなってほしいのかが具体的にわかりづらかったのもありますね。
ノアに他人の感情を理解し、それを利用するだけのことがないようになってほしいのか、ノアに感情を持って欲しいのか、燭台を使って人を幻獣化させることをやめてほしいのか
で、それがノアの苦しみを解放することにつながるのか?っていう。
まあ要するに、2000年もの間苦しみ続けているノアの魂を解放したいっていうけど、具体的にどういうこと?というのと、ただ表面的な言葉がふわっとしていて肝心な中身が私にはよく伝わってこなかったので、結果今回の列伝は個人的に微妙な評価になってしまったんだと思います。
セレスティアのノアに対する敬愛の念や感謝、セレスティアにはノアがどう見えているのか、それがまた新しい視点だったのは面白かったんですがね。
あとは、最後ノアがセレスティアを幻獣にする儀式を行う前に、セレスティアに救われた人々がノアのもとに押しかけるところは良かったのですが(ちゃんとセレスティアが人々の希望であったことは伝わってきた)
そこまでの描写がちょっと駆け足だったように感じましたかね。まあでもあそこからさらに尺長くするとコストの問題もあるんでしょうけど、、、
あとちょっと話ずれますが、魔族(魔王らしい)のフォルネウス自身がもっとセレスティアの優しさに直接触れるような描写が欲しかったですし、人間の可能性についてギルザとアーカード達のようにもうちょっと踏み込んでも良かったのかなと(それによって魔族のフォルネウス自身の人間に対する核心づいた言葉が出てきたら尚良かったような)
フォルネウスが結局キーパーソンにならずに終わってしまったのが勿体ないように思いました。もう少し彼の立ち位置を活かして欲しかったですね。
とりあえず要約すると、
・セレスティアの願いや祈り、ノアを苦しみから解放するということの具体的な意味をもっと示して欲しかった。
・フォルネウスがもっと人間と直接接触し、人間への核心づいた見解を示して欲しかった。
・結構ありきたりな話かなと 物語としても起承転結がぼんやりしていたというか、あまり驚きやいい意味で裏切られることもなく、波が少なかったように感じた。
とりあえず本日はここまでですが、クリプト内おそらくトップクラスの変態を誇る魔族のアミーさんについても語りたいので笑、また次記事でやります。
ネガティブな感想多くてすみません。
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