AKIHIDE 桜雨
好きな曲です。哀愁を感じられる曲はとても好みです。
イントロのギターのメロとストリングスのアンサンブルが素敵です。アコギからエレキへの切り替えもまたポイントですね。この曲、イントロだけではなく全体的にアコギとエレキのギターの切り替えが凄く良いのです。
あとストリングスもとてもよく楽曲に効いてます。サビ前は特に。
イントロ、耳を澄ますと、ひぐらしの鳴き声のような音が鳴ってて、これもまた風情がありますね〜!桜が曲名に入っているように、和の世界がより深まっているように感じます。
1番Aメロのドラム、ハットもスネアも少し後引く音というか、音に余韻がある…伝わりますか?笑
それが良い味出てるんですよね。これを叩いてる人気になります?気になりますよね?
そう、我らが石井悠也大先生です!!!!!!!拍手!!!!!!!!!
…まあいつものテンションはここまでにして笑
Bメロからストリングスが入ってくる、このBメロからがポイントですね。
Bメロ後すぐにサビいくのではなく、サビ前にストリングスが入ることによってより盛り上がるなあと。
サビの、もう2度とは戻れない〜の、もうのうの部分にシンバルがジャーンってくるのが良いですとても。
2番は歌詞が切ないですね。この歌詞の切なみとメロディが凄く合ってて…
そっと離れてく手と手に僕は何も出来なかった…
そうなんですよね〜。家族はいずれバラバラになっていくのです。子供も大きくなればそれぞれの道を行くようになるのです。
1番との、強く手をつなぐ笑顔の二人との対比がまた切ない…より、過去には戻れない、愛しき日々は戻ってこないという現実を思い知らされますね。
余談ですが子供は親を繋ぎ止めるものでも引き離すものでもあるな、って考えてます。繋ぎ止めるものであってほしいけれども。
ちなみに2番ではサビが少し長くなっていて、大サビへ向けて階段を一段登った感じですね。
まあ、どの曲でも言ってますけど、2番以降がこの曲良いんですよね。笑
2番以降のパンチで私の好み決まる感じになってきてますね。
2番終わりからのギターもまた哀愁が…!ここでエレキがくるのも、この音もぴったりだなと…!こういうメリハリも大事なポイントですね。
次の、何度目かの春の日に〜の部分のドラムが大変いい味出しています。
この歌詞の、僕の大事な二人(AKIHIDEさんのお父様とお母様のこと)がいつの日にかまたもう一度笑顔で会えますように 祈るから、なんて…こんなの息子に歌われたら泣きますよね。ここはガッと掴まれました。
ドラムの盛り上げ方も素晴らしいですわ。
ラスサビも良くて。ここ一筋縄じゃ終わらないんですよ。出だしのテンションのままだとイマイチ盛り上がりに欠けると思うんですが、もちろんそうではなく、ちゃんともう一山用意されてます。ここも凄く大事なところであります!
この曲の良さはメッセージ性にもあるんですよね。1番サビの歌詞、もう二度は戻れない永久を信じてた日々よ、って、本当にそうで、過ぎた日々は戻ってこないんですよね。昔は永遠を信じていたし、というかもはや疑いもしなかったですし。
それが大人になるにつれていろいろ学ぶと、わかるんですよね。過去には二度と戻れないし永遠なものってないんだなと。
変わらずに微笑むのは写真の僕らだけ、っていう歌詞も、より切なさと、変わらない現実の儚さを感じられるのであります。
2番サビの歌詞、帰りたいもう帰れないっていうの、もう二度とは戻れないと同意味なんですけど、言い方変えてるところもまた良いんですよね。
多分、ここ強調したいんだろうなと。過去には戻れないということ。まあ本当、過去には戻れないっていうのは絶対的な事実であり現実ですよね。疑似体験はあるにしても。
帰らないあなた(AKIHIDEさんのお父様)を待つ母が僕を抱きしめたって歌詞も良いですね。どうにもならないことへの切なさを遠回しに訴える良い言葉回し…
お母様の寂しさが伺えてなんとも言えない気持ちに。きっと泣きそうな表情だったんだろうなあと思います。
ラスサビの、もう二度とは戻れない遠いぬくもりの日々よ、と、帰りたいもう帰れない僕の愛しき日々よという歌詞、これもまた同意味なんですけれども、言い方変えてまで繰り返すことで、より切なさを感じられて。ここもぐっと掴まれます。
過去の日々に愛おしさを感じているっていうのは、過去だからこそ、もう戻れないことがわかっているからこそ、より愛おしさが増してるんでしょうね。
言葉の選びも上手いし、一貫性があるし上手く対比を使っていたり、同意味のものに言い方を変えていたりしていて。
一つの物語として成立している感じがするというか。時系列がわかりやすいんですよね、過去→現在と、変化していく様が。それもポイントだなあと思っています。
それでいて、伝えたい箇所は伝わるように工夫されていて。そして人の成長も感じられる、物語性のある曲なんですよね。
さらにラスサビでの、変わらずに微笑んでる父と母と僕の写真にそっと笑いかけた…って歌詞に前向きさが感じられます。それまでは戻れない日々を嘆いてたのが、巡り巡っていつかまた会えるといいな、という前向きな願いに変化してるように感じられましたね、私は。
そっと笑いかけた…って表現がまた絶妙だな〜と。なんとなくここでは諦め故の悲しい笑いとは違うんじゃないかなと。ゼロではないと思うけど。
でも、切なさはちょっと感じられて。多分、現実を受け入れ始めてきている様子なのではないかと。
100%前向きで元気元気!って感じとはまた違うと思います。
まあもちろん、凄く現実的になれば、いつか二人が会えるってことはおそらくあり得ないんですよね。死後の世界は知らないですけど。私は死=全てが無になるって考えなので。
でも多分AKIHIDEさんはそれをご存知だ思います。知りつつも、それでもって思いなのでしょうね。
なぜそう思うかというと、ところどころに現実を理解しているような歌詞が見受けられるし、表現が願望(〜できますように、とか)になっていて、これは裏返せば現実的には叶わない、実現できないということとも捉えられるので。
けれど私は、こういう、叶わないと知りつつも…な表現は凄く力強み、意志の強み感じられるので好きです。
そこまで言われたらなんか、いや叶わんでしょって突っ込む気持ちがなくなります。というか、現実的な突っ込みを待ってるんじゃないんだなってわかるので。
最後のコーラスの部分でわかるように、咲いてる桜の花もいつかは散るけれども、次の春にはまた花を咲かす。っていう、まあこれは人も巡り巡って命を繋いでいくってことの比喩なのかなーと。
生きてるものは必ず死ぬし、それが世界中で起こっていて、でも同時に世界中で人が産まれて、それが繰り返されてる。っていう。
切なさとどうにも出来ない現実に対してのやり切れなさと、でも生命は巡り巡ってゆくのだとという、なかなか大きいテーマ扱っていながらも、見事に音楽で表現されていて(ストリングスの功績は大きい!)、素晴らしいです。
家族愛を描いてるってよりは、こっちがメインなのかなって私は感じました。
なんか途中いろいろ話ぶっ飛んでますけど、AKIHIDEさんの作品の良さって、なかなかに現実突きつけてくるけど、決して絶望を叩きつけるだけなのではなく、最終的にはそれを上手く生かして希望に変えて還元してくださるところかなって思ってます。
なんというか、現実との付き合い方のヒントをくださるといいますか。そんな感じです。もうどれだけ救われたかわからないです。
もし最後まで目を通してくださった方がいるのであれば、ありがとうございます。