列伝 廻り巡る双天使 感想②
*ここから下はネタバレゴリッゴリに含む感想になりますので、未読の方は閲覧ご注意下さい!*
今回、私にとってはかなり好きな台詞が多かったのですが、ルシファーのとある台詞によってこの列伝の評価がぐっと上がりました。
その理由について、最初、イリヤとエノクはお互いにあなたがいればいい、あなたさえいればいい(勿論、エゼルの民のために闘ってはいたものの)っていう感じだったと思うんですけど、
私はこのお互いさえいればいい、あなたが世界の全てだっていう思考は勿論ファンタジーでならかなりのロマンであり、美しいかもしれません。
クリプトもファンタジーなので、美しいとは思ったものの、個人的にはもしこのまま二人の自己完結した世界のまま現代までいって終わってたらちょっとどうなんだろう?とは思ったかもですね。
最近考えるのが、まあ私もそれなりの年齢ですし、プライベートだと確かに自分の身の回りの人さえいればいいと割とつい最近まで思ってたんですけどね、
意外とそうでもなかったりするのかなと。
私は昔は自分から楽器習いにレッスンやってるプロの方に自ら突っ込んでいく性分でしたが、ここ数年はクリプトも含めてアクセサリーもそうですし洋服もそうですし、友達からの紹介で知り合ったもの、それを作る方々と出会えて良かったなー、と思うことが多くて。
勿論紹介ではなく個人的にもSNSを通して知り合ったクリプト関係でそういう方々もいらっしゃいますけどね!
でもそれって、その知り合った方々が生きていてくれていたから、何かを作ってくれていたから、私の何かに反応をくださったから私は出会えたわけで。
そう考えると、互いに自己完結させる世界って勿体ないというか、、、
意外とあなたさえいればいい、っていう思考はある種危険でもあり、様々な人・モノとの出会いのきっかけを自ら妨げるものになってしまうのでは?と思うようになりまして。
あと、未来があります。
私はいずれ死んでもおそらく今この瞬間も新しい命が誕生していると思います。
その時に、名前も知らないけどこれからこの世を生きる人がいます。
そういう人達に、個人的に自ら命を絶つことがないような世界であってほしい思いがありまして。
というかその選択を取らざるを得ない世界になって欲しくない、かな、今でさえ悲しいニュースはよく聞きますもんね、で、加害側は隠蔽に必死と。こんなの人の死を馬鹿にしてる。馬鹿げてる。
これからを生きる人たち、勿論私も生きてる限りはそうですが、こんなのあってはいけないと思いますよ。なんで大人の自己保身の為に子供が犠牲にならないといけないのか。
そんなダサい大人には絶対になりたくないので。
まあ、この国に未来があるのかさえ今はまだわかりませんけど、段々と"今は自分に見えない、知らないけどもしかしたら出会うかもしれないし私が死んで出会えなくなるモノ・人"のことも考えるようになった、という話です。
すみません、いつもの如く脱線しましたが笑、
話戻って、さっきの場面から200年後エノクが
こう発言したことから、200年前はお互いに自己犠牲的な精神だったものが、違う、そうじゃない、二人がずっと一緒にいられるようになるための世界が必要だ!という風に思考が多少変わったのかな?と見受けられました。
ある種こちらも互いの自己完結した世界にも見えますが、エノクの視野が世界まで広がったのはさすが知性を持って生まれた天使ですね。
段々と二人が互いを想うことの行動の結果が、互いが互いのために心身共に擦り減らすことではない、必要なのはそうならないための世界だ、という気付きが出てきたのではないでしょうか。
私も結局はそれぞれにそれぞれの世界があって、関わる人がいて、そう思うと決してこの世は自己完結的ではないし、
けれどもこのような思いを持つ人が積み重なるというか、集まって、世界は回ってるんじゃないかなと。時には傷つき戦いながらでも。
この変化の描写は良かったと思いますね。しっかり作り込まれている感じが伝わってきました。
個人的には、
流石ルシファーさんがオイシイとこ持ってったな〜!!って感じでしたね!笑
正直この台詞が無かったら、この列伝の評価は変わってたと思います。
私は年齢的には世間的にはまあ大人に当たるんでしょうけれども(もしかしたらその年齢じゃまだまだ子供だよ、と仰る方もいらっしゃるかもしれませんが)
最終的にはこの考えに至るんですよね。
もちろん、正直言って自分にとって身近な大切な人を優先的になってしまうというか、どうしても今見えていてあるものだからそうなってしまうのは仕方ないことだとは思いますし、
身近な人さえも大切に思えなければ他に思いを馳せる選択肢も基本的にはないと思うんですよね。
沢山の人の誰かを、いや人に限らないかもしれませんね、想う気持ちが世界を作っていて、
家族や恋人のために働く人、料理する人、独り身でも友達がいる人、ヲタ活のために働く人、それぞれ。
勿論フューネラスやザドキエル(今回は敵とされる側の天使勢)のように、それを巧みに利用して今回の列伝ならば自分にとって都合の悪いものはとことん排除しようとすることも出来るけれども、それは決して他者に侵害されるものではない、ということもこの列伝で言いたかったことなのではないか、とも思いました。
かつての某宗教の事件とも重なるところがあると思いましたね。
とりあえず一番伝えたかったことは書けましたが、もう少し感想シリーズ続きますので、
お付き合い頂ける方はそちらもよろしくお願い致します。
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